年末、母が黄色いニットを取り出してみせた。
黄色は母の好まない色だと思っていたけれど、ブティックでそれを見たときに「若い頃にこんなニットを持っていた」となつかしく思い出したんだそうだ。
さっぱりした生き方を目指し、近頃は多くのものを処分していた母。その母がいつもなら諦める値段の服を買い、満足げに披露している。その姿がなんとも可愛らしかった。
母は年を重ねても、瞳の奥に子供のようなまっすぐな輝きを持っていて、それは色褪せることがない。そしてしまっている宝石のように、時々それを披露してくれるのだ。
きっとオシャレとは誰のためでもでもなく、ただ自分がそうしたくてするものなのだろう。けれど自分の好きな人がキレイでいてくれると、たまらなくうれしい。
もちろん、自分自身がキレイなのが一番うれしいけれどね。
そんなことを思いながら、今日も爪にオイルを塗る。指先は自分が一番頻繁に見るパーツだから。
記事/月野みちえ